元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、メディアが大きな意味を持つ小説?

 

平野啓一郎:小説の読み方 】

 


 先日、「小説の読み方 感想が語れる着眼点」(平野啓一郎著、PHP新書)を読んだ。
以下は一部抜粋。

 


プロットの論理性

 

 『恋空』の高校生たちの困難は、ポケベルから携帯メールへと、新しいメディアが出現し、進化していった世界の中で、十分に<書き言葉>化されていない<話し言葉>を付帯情報を欠いたままやりとりしてしまうために、しょっちゅう、お互いの間に、誤解を生じさせてしまっていることだ。そして、その誤解を解消するために、その都度、身体情報の確認に赴かなければならない。

 


 他作との比較ということで言えば、やはり『蹴りたい背中』と並べて読むことが効果的だろう。『蹴りたい背中』もまた、コミュニケーション偏重の高校生小説だったが、ハツとにな川は、メディアを挟まない対面コミュニケーションを基本とし、「蹴りたい」という最後の決定的な<ボディコンタクト>の衝動が主題となっている。

 

 また、『髪』でも、愛する人間の死と距離とが主題化されており、メディアは、基本的に電話だけだという点に比較の面白さがあるだろう。いずれにおいても、メディアが大きな意味を持っているが、何かのテーマに着目するだけで、まったく異なるように見える小説の間に、意外な共通点が見えてくることがある。

 

 その際に、私たちが慎重にならなければならないことは、その因果関係を設定したのは、飽くまで読者の頭の中にある理論的なフレームだということだ。作品が互いに影響関係を持っているかどうかというのは、また別の問題である。

 


<感想>
対面コミュニケーションの『蹴りたい背中』、電話の『髪』、携帯メールの『恋空』。私の手元にあった中学3年生時(45年前)の同じ班員6名+αによる(交換)日記をベースとした小説を書いてみたいと思った。

 

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あれっ、上から目線による当座預金開設停止?

 

当座預金開設停止→手形・小切手の電子化 】

 


 2024/4/23、日経新聞朝刊で「山梨中銀、当座預金開設7月停止」記事が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC227Q10S4A420C2000000/

 

 メガバンクを調べた処、2023/8/16の日経電子版に、「三井住友銀行、新規開設者に手形・小切手の発行停止へ」記事が掲載されていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB146NC0U3A810C2000000/

 


 以下は、参考になりそうな添付Webサイトから目的を確認してみた。


「手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた自主行動計画 ~約束手形等の利用の廃止等に向けた自主行動計画~」
2021年7月19日制定 2022年6月17日改定
手形・小切手機能の「全面的な電子化」に関する検討会(事務局:一般社団法人 全国銀行協会
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/koudoukeikaku/zenginkyo.pdf

 

基本方針(P6)
電子的決済方法への移行を強力に推進していくことで、産業界および金融界双方の事務負担・コスト削減やリスク軽減に寄与し、最終的に約束手形等の利用の廃止につなげる

 


<感想>
銀行員として勤務していた頃の、法人の当座預金獲得を目指した時代が終焉する。
中小企業側の手形利用者目線というより、銀行側の目線(事務・コスト負担等の削減に寄与)での当座預金廃止→手形・小切手の利用廃止というスタート地点の考え方。
このような(供給側の上から目線的な)目的/目標は、本来の需要者/利用者側(の生活者的な目線ベース)からの設定に、修正する必要があるのではないか。

 

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あれっ、同意なきTOBに対する取締役会の判断?


【 ローランドDG宛てTOBの進捗状況 】

 


 2024/4/22、日経電子版に、「ローランドDG、情報不足の買収合戦 高値提案に否定的」記事が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC035IS0T00C24A4000000/

 

 以下は、ローランドDG宛てTOBの進捗状況に関する3月以降の主な進捗状況の概要。


 TPP社:タイヨー・パシフィック・パートナーズ
 B社:ブラザー工業
 R社:ローランドDG


3/15・3/22:TPP社宛て、TOB価格引き上げを要請・TPP社から検討中との回答あり

 


3/22:特別委員会から以下内容の検討結果を受領
  (a)TPP社関連TOB(「本TOB」)への賛同は不合理ではないが、今後のB社との協議に応じて変更の可能性がある点について留保を付すべき

 (b)株主宛て本TOBへの応募推奨の是非を中立とすることは不合理とは認められない

 


3/26:「本TOBに関する意見の変更についてのお知らせ」(出所:https://ir.rolanddg.com/ja/ir/news/auto_20240326559817/pdf

 

 本TOBに賛同する旨の意見は維持するものの、株主宛て応募推奨は、株主の判断に委ねる旨決議。但し、今後のB社との間の協議状況に応じて変更される可能性あり
監査役4名全員が出席していずれも異議なし

 


4/12:B社TOB開始予告及び本TOBに係る協議に関する進捗等(出所:https://ir.rolanddg.com/ja/ir/news/auto_20240412569618/pdf

 

(1) B社宛て:R社の懸念(1)B社TOBによるシナジー発生の実現性や2)ディスシナジー発生の懸念を払拭できていないこと)を質問 ⇒ B社との間で、R社の特別委員会を交えた協議を継続&B社TOB提案に対して慎重に検討を行う予定

 

(2) TPP宛て:本TOBの買付け等の条件を変更する意向があるか示すよう要請。TOB期間を2024年4月26日まで延長(TOB期間を合計52営業日へ)

 


<感想>
1)B社宛てへのディスシナジー発生の懸念等が払拭されないまま、2)TOB価格がB社>TPP社の状況下で、R社の取締役会が判断せざるをえない場合の意思決定プロセスに注目したい。

 

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あれっ、スロー・リーディングで本質を見極める?

 

【 スローメディア/スロー・リーディング

 


 先日、日本監査役協会の【動画配信】講演会で、一橋大学大学院の楠木教授の「逆・タイムマシン経営論」を視聴した。

 以下は、添付Webサイトからの一部抜粋。

 


逆・タイムマシン経営論
https://www.uchida.co.jp/system/report/20210013.html

 


ファストメディアの時代

われわれはファストメディアの時代に住んでいます。情報はあふれかえっているのに、肝心要の論理が抜けている。

 

情報の受け手側は、スマホで隙間時間も情報収集し、情報の供給側は、ページビューが可視化されるのでどうしても数字を追いかける。すると、必然的にバズワードをちりばめたタイトル、とくに危機感をあおるような言葉を乱発する。

 

情報がコモディティ化(大衆化)し、知識があるだけではその他大勢でしかない時代です。ここで重要になるのが、本質を見極める力です。僕は、逆・タイムマシン経営論は、ビジネスパーソンにとって、他の人との違いを作る武器になるのではと考えています。

 


スローメディアときちんと向き合いましょう。いつの時代も良書を読むことは、知的トレーニングの王道です。新聞雑誌は寝かせて読みましょう。かつてはただのファストメディアだったのが、いつしか上質のスローメディアに熟成しています。

 


 一方、以下は、「本の読み方 スロー・リーディングの実践」(平野啓一郎著、PHP新書)からの一部抜粋。

 


本はどう読めばいいのか?
 読書を楽しむ秘訣は、何よりも「速読コンプレックス」から解放されることである!本を早く読まなければならない理由は何もない。早く読めるような内容の薄い本へと自然と手が伸びがちである。その反対に、ゆっくる読むことを心がけていれば、時間をかけるにふさわしい、手応えのある本を好むようになるだろう。

 


「量」の読書から「質」の読書へ
 私たちは、情報の恒常的な過剰供給社会の中で、本当に読書を楽しむために、「量」の読書から「質」の読書へ、網羅型の読書から、選択的な読書へと発想を転換してゆかなければならない。

 


仕事・試験・面接にも役立つ
 スロー・リーディングは、本を読む習慣のある誰にとっても重要であるだけでなく、本質的には本を読まない人にとっても重要である。なぜならそれは、言葉を深く理解する技術だからである。

 


<感想>
情報が氾濫するファストメディアの時代。本質を見極めるための「スローメディア/スロー・リーディング」を心がけてゆきたい。

 

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あれっ、天皇機関説を許さない空気?

 

【 大学入試問題で読み解く「超」日本史 】

 


 先日、『大学入試問題で読み解く「超」世界史・日本史』(片山杜秀著、文藝春秋)を読んだ。

 以下は、一部抜粋。(その6)

 


【 問題1】天皇機関説天皇主権説

次の文章を読んで、次の問いに答えなさい。(問1から問4まですべてで400字以内)

 

 美濃部達吉の(a)天皇機関説は、1910年代の憲法論争を経ながら、学界はもとより政界・官界・司法界など広く通説として定着していた。にもかかわず、1934年秋ごろから軍部・右翼などにより天皇中心の国家体制に反する学説として批判が加えられた。1935年には、美濃部は貴族院で「学匪」と弾劾され、不敬罪で告発されることになる。これを機に広範で強力な機関説排撃運動が展開され、政府は、同年、国体明徴声明を出し、天皇機関説を否認した。

 


(問1)文中にある憲法論争にも触れながら、(a)天皇機関説を説明しなさい。

 

 天皇機関説は主権が法人としての国家にあり、天皇は国家の最高機関として憲法の条規に従って統治権を行使する必要があるとして、政党内閣を正当と説く憲法解釈であった。主権は神聖不可侵の天皇にあり、天皇の権限は無制限とする上杉慎吉天皇主権説と対立した。

 


(問3)天皇機関説事件は学問への統制を本格化させる契機となった。これに先立って起きた大学の学問自治が侵害された事件をあげて、その内容を説明しなさい。
 
 滝川事件。京大法学部教授滝川幸辰の刑法学説が右翼から自由主義的と非難されると、鳩山一郎文相は滝川を休職処分とした。法学部の教授会はこれに抵抗したが、処分は撤回されなかった。

(問2)(問4)省略(一橋大学 2014年度前期 日本史)

 


<感想>
どうみても天皇主権説より天皇機関説の方が合理的な考え方だと思われるが、恐らく当時の時代背景にはそれを許さない空気が流れていたに違いない。悲しい歴史を繰り返すことのないようにしたい。

 

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あれっ、天皇大権に基づく統治は特別な時代?

 

【 大学入試問題で読み解く「超」日本史 】

 

 

 先日、『大学入試問題で読み解く「超」世界史・日本史』(片山杜秀著、文藝春秋)を読んだ。

 

 以下は、一部抜粋。(その5)

 

 

【問題1】大日本帝国憲法日本国憲法
 次の二つの資料は、1889年に発布された大日本帝国憲法と、1946年に公布された日本国憲法の条文である。これを読んで、下記の問いに答えなさい。(問1から問4まですべてで400字以内)

 

資料1
第1条 大日本帝国万世一系天皇之ヲ統治ス
第4条 天皇ハ国ノ元首二シテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規二依リ之ヲ行フ

 

資料2
第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。(以下略)

 


(問1)資料1にみるように、大日本国憲法は、天皇を「統治権」の「総攬」者と規定していたが、それに基づいて天皇は、いくつかの強大な権限を有していた。そのうち二つをあげ、その内容を簡潔に説明しなさい。

 

 外交権と統帥権。外交権は帝国議会の干渉を許さない天皇大権であり、外務大臣が単独で輔弼した。軍隊の最高指揮権である統帥権は、内閣からも独立した天皇大権であり、参謀本部と回文軍令部が事実上輔弼した。(駿台版2016 一橋大学前期)

 


(問2)大日本帝国憲法を全面的に変えた日本国憲法の草案は、連合国軍最高司令官総司令部GHQ)の直接の起草によるものであった。なぜ、GHQは直接起草に踏み切ったのか、その理由を説明しなさい。
 
 GHQの指示に基づき、日本政府は憲法問題調査委員会で憲法草案を作成したが、それは大日本帝国憲法を修正した程度の保守的なものだった。そこで、GHQ占領政策の最高決定機関である極東委員会の開会の前に、民生局で象徴天皇制・戦略不保持などを内容とする憲法草案を直接起草し、天皇制存続を既成事実化した。(駿台版2016 一橋大学前期)

 


(問3)GHQによる憲法草案の内容には、敗戦直後からの日本側のさまざまな試みが影響を与えていた。それを具体的に説明しなさい。

 

 高野岩三郎らによる民間の憲法研究会は、国民主権と象徴天皇を内容とする「憲法草案要綱」を発表したが、それはGHQ草案にも影響を与えた。(駿台版2016 一橋大学前期)

 


<感想>
皇紀2600年の中で、大日本帝国憲法の50数年におえる天皇大権(外交権、統帥権等)に基づく統治は、極めて特別な時代と位置付けられるだろうが、明治維新後の選択肢としては止むを得なかったものと思われる。

 

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あれっ、保険金目的外流用・隠ぺい増税による子育て支援金?

 

【 目的外流用・隠ぺい増税による子育て支援金 】

 


 2024/4/15、原英史氏が、アゴラに『子育て支援金なる「隠ぺい増税」は民主主義を揺るがす』を掲載された。
https://agora-web.jp/archives/240413182717.html

 

 以下は、一部抜粋。

 


子育て支援金」制度の撤回を求める緊急声明を有志で公開した。
https://drive.google.com/file/d/1gN9J0i2YQXtwnTLgofnYeSJ1rkbS_eC6/view


子育て支援金には根本的に欠陥がある。

 

第一に、健康保険の目的外の流用であり、本来許されない。

 

第二に、現役世代に重く負担がのしかかり、少子化対策に逆行する。合理的な説明を見出すことはできない。

 

緊急声明の賛同者には、多様な識者が名を連ねた。財政政策などに関して意見が異なり、ふだんは決して同じ方向を向かない人たちも並ぶ。それぐらい「子育て支援金」制度はおかしい。

 

ところが、国会での法案審議は粛々と進行し、4月15日の週にも衆議院で可決の見通しのようだ。野党はいったい何をしているのか、理解に苦しむ。ここまでおかしな法案がすんなり成立するようでは、国会の存在価値すら問われるのでないか。

 

わかりやすくいえば、子育て支援金は「隠ぺい増税」だ。「増税」には国民の反発が強いから、社会保険料と称し隠ぺいしているに過ぎない。

 

しかも、増税ならば税率を明確に法律で定めなければならないが、「隠ぺい増税」なのでそれもない(あとから各保険者が定める)。だから、負担額がどの程度かの説明がコロコロ変わるようなデタラメもまかり通る。

 

民主主義の根本の一つは、国民に税をどれだけ課すかは、国民の代表である議会で決めることだ。「隠ぺい増税」は民主主義の根幹を揺るがすものにほかならない。

 

だから、子育て支援金は、許してはならない。「もっとよい制度案がある」といった相対的比較の問題ではない。

 

今こそ野党は、民主主義を守るため、何としても可決を阻止すべく徹底して戦うべきではないのか。そして、少なからぬ与党議員も、「本当はこんな制度はおかしい」と理解しているのだから、声を上げるべきではないのか。

 

子育て支援金は、財源規模1兆円程度、世帯の月負担は数百円からせいぜい数千円程度だ。それで小さな話と思う人もいるのかもしれないが、断じてそんなことはない。今後、さらに高齢化が進む中で、財政・社会保障を持続可能にするため、痛みを伴う歳出削減を行うにせよ、国民にさらなる税負担を求めるにせよ、国民との信頼関係が不可欠だ。

 

国民を欺く「隠ぺい増税」は、国民との信頼関係を決定的に損ない、日本の国家運営全体を危うくしかねない。

 


<感想>
マスコミではほとんど取り上げられていないが、健康保険と何の関係もない「目的外流用」かつ「隠ぺい増税」による「子育て支援金」を決して認めてはなるまい。

 

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