元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、最高裁小法廷で敗訴が確定?

 

夫婦別姓最高裁小法廷で敗訴 】

 


 2022/3/23、日経新聞電子版に『夫婦別姓で敗訴確定、2裁判官「規定は違憲」 最高裁』が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE227A10S2A320C2000000/

 以下は、一部抜粋。

 


夫婦同姓を定める民法などが憲法違反かどうかが争われた国家賠償請求訴訟2件について、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は23日までに、原告側の上告を退ける決定をした。原告敗訴とした一、二審判決が確定した。

 


<ご参考>
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-08-20/ftp20080820faq12_01_0.html

最高裁が大法廷、小法廷で審理する基準は?


 大法廷で扱われるのは、裁判所法で小法廷が扱ってはならないと定めている三つの基準にあたる事件です。

 

(1)当事者の主張にもとづき、法律、命令、規則、処分が憲法に違反するか否かを新たに判断する時

(2)当事者の主張を待たずに、法律、命令などが憲法に違反すると認める時

(3)憲法や法令の解釈適用についての意見が以前の最高裁判例に反する時


 小法廷の裁判官の意見が二つに分かれ、同数の場合や、小法廷が大法廷で裁判することを相当と認めた場合も、大法廷で扱われます。

 


<感想>
 最高裁夫婦別姓が敗訴とはなったが、小法廷の5人の裁判官の内、2人が違憲とした。
 将来、大法廷で違憲の判断が下される可能性もあるものと思われる。

 

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あれっ、需給ギャップを埋めるための減税?

 

需給ギャップを埋めるための減税 】

 


 2022/3/21、高橋洋一さんが、現代ビジネスに、「ウクライナ情勢で物品価格が上がるなら、ただちに消費減税を検討すべきこれだけの理由」を掲載された。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/93565?imp=0

 以下は一部抜粋。

 


3月9日に公表された2021年10~12月期四半期別GDP速報(2次速報値)の、実質季節調整済みの実額GDPを見てみよう。コロナ以前のピークは2019年7-9月期の557.6兆円だったが、2021年10-12月期は540.2兆円に落ち込み、ピーク時に比べれば17.4兆円、3%も少ない。

 

内閣府による2月月例経済報告は、昨年7-9月期でGDPギャップは▲4.8%とみている。

 

ただし、このGDPギャップの数字はあくまで内閣府のものであり、これがゼロになっても、インフレ率は2%にも達せず完全雇用も達成できないことに留意すべきだ。

 

その後、10-12月期は新型コロナがいったん落ち着き、GDPは前期比で1.1%伸びたので、GDPギャップは▲3%台半ばだろう。しかし2022年1月からまん延防止措置をとったので、現在のGDPギャップの実態は▲5%程度と推定される。

 

この程度のGDPギャップがあると、マクロ経済からみれば、インフレ率はそれほど上昇しないし、失業率もあまり低下することはない。

 

そのなかで基調としてインフレ率2%を達成するためには、内閣府によるGDPギャップが+2%程度になる必要がある。その意味で、今の真の需給ギャップは▲7%程度だろう。

 


海外でインフレになっているのはGDPギャップがないからだ。そうした事情を無視して総需要引き締め政策(緊縮財政、金融引き締め)を日本にも適用しようとするのは間違っている。国内のマクロ経済政策をやりたくないために、海外でのインフレを強調する向きがあるので、よく注意しなければいけない。

 

ここまで来れば、筆者が冒頭に述べた政策が必要なことがわるだろう。GDP7%程度の経済対策が必要となるが、消費税の軽減税率制度を利用して、個別物価を上がりすぎないようにする政策が重要になる。

 

政府と財務当局はトリガー条項(ガソリン価格が3ヵ月連続で160円/Lを超えた際に揮発油税などを引き下げる特別措置)を頑なに否定していたが、自民党公明党、国民民主の間で政策協議することになった。そうであるならば、国民生活に影響のある個別物品について、消費減税も検討するのは当然だろう。

 


<感想>
 高橋さんの言うように、真の需給ギャップ▲7%を埋めるためには、トリガー条項による減税+消費減税が必要だと思われる。

 


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あれっ、株価売出し時に安定操作なし?


【 安定操作のない株式売出し 】

 


 2022/3/14、ノーリツが株式の売出しを発表した。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70667/17a746e7/838b/4c24/bc44/9f9afb3bb4d0/140120220311503952.pdf

 以下は一部抜粋。

 


1.株式の売出し(引受人の買取引受けによる売出し)
(1) 売出株式の種類及び数 当社普通株式 460,000株
(2) 売出人 株式会社三井住友銀行
(4) 売出方法 引受人の買取引受けによる売出しとし、SMBC日興証券株式会社に全株式を買取引受けさせる。

 

2.株式売出しの目的
金融機関が売出人であること等から、法令の定める目論見書の作成を要しない売出しに該当するため、事務負担やコストの軽減を図りつつ、引受人による丁寧なマーケティングの実施により、個人投資家を中心に幅広い需要の創出が見込める本株式売出しを実施することにいたしました。
本株式売出しは、当社株式の分布状況の改善のために、個人投資家を中心に株主層のさらなる拡大を図るとともに、コーポレートガバナンス強化による株主価値の向上を目的としたものであります。

 

4.安定操作取引について
株式の売出し(引受人の買取引受けによる売出し)に関する安定操作取引は行いません。

 


2022/3/16
売出価格等の決定

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS70667/0f23319c/e189/466a/b239/678a7f89f11c/140120220311504228.pdf

 

条件決定日(2022/3/16)終値:1,364円
売出価格:1,323円(ディスカウント率3.01%) 
申込期間:2022年3月16日(水)から2022年3月17日(木)午前9時まで

 


株価終値推移(円)
3/14 1,452、3/15 1,363
3/16 1,364、3/17 1,411

 


<感想>
 先般、相場操縦で逮捕者を出したSMBC日興証券を引受人とし、兄弟会社のSMBCを売出人とする売出案件。
 募集期間を実質1日として、かつ、安定操作を実施しないのは、相場操縦案件の影響があったものと思われる。

 


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あれっ、売出しのターゲット株価に向けた買い出動?

 

【 株式売出時:株価の動き 】

 


 2022/3/9、コスモエネルギーHDが、「株式の海外売出し並びに主要株主、主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ」を発表した。
https://ceh.cosmo-oil.co.jp/press/p_220309/pdf/220309jp_01.pdf

 


株式売出しの目的
当社は、当社の主要株主及び売出人である Infinity Alliance Limited(アラブ首長国連邦アブダビ首長国100%出資会社であるMubadala Investment Company(以下「ムバダラ社」という。) の100%子会社)から売出人が保有する当社普通株式の売却に関する相談を受け、協議を重ねてまいりました。

当社といたしましては、ムバダラ社との戦略提携によって一定の事業上の成果を得たこと、またムバダラ社の投資戦略の進展に基づく当社普通株式売却に係る意向を尊重し、市場における当社株式の流動性の向上及び株主層の拡大を図る観点から、売出人と協力し本株式売出しの実施を承認することとしました。

なお、本株式売出し実施後にムバダラ社との資本関係及び提携関係は解消される予定であり、当社社外取締役であるAbdulla Mohamed Shadid氏及びAli Al Dhaheri氏はそれぞれ取締役を辞任する予定ですが、当社は、引き続き良好な関係を継続していくことをムバダラ社と確認しております。

 


売出価格等の決定
https://ceh.cosmo-oil.co.jp/press/p_220310/pdf/220310jp_01.pdf

 

単独ブックランナー兼主幹事会社:J.P. Morgan Securities plc
条件決定日(2022/3/9)終値:2,924円
売出価格:2,450円(ディスカウント率16.21%) 
売出株数:13,300千株
受渡期日:2022/3/14

 

 

株価終値(円)/出来高(千株)
12/24 2,271/133、12/27 2,199/644.5

2/13 2,339/291.1、2/14 2,585/1,641.1

 

3/1 2,605/640.5、3/2 2,729/1,122.6
3/3 2,872/1,396.4、3/4 2,869/776.8

 

3/7 2,981/1,112.1、3/8 2,837/1,007.2
3/9 2,924/1,074.1、3/10 2,577/9,538.6
3/11 2,558/3,079.6

 


<感想>
株価推移をみると、出来高を伴って、ムバダラ社側の売出しのターゲット株価に達するための買いが入ったようにも見える。


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あれっ、合法的な相場操縦?

 

【 相場操縦として認められるケース 】

 


 以前勤務していたSMBC日興証券の幹部4人が相場操縦容疑で逮捕された。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE061JQ0W2A300C2000000/

 

 以下は野村證券の証券用語解説集の「安定操作」からの抜粋。

https://www.nomura.co.jp/terms/japan/a/anteisosa.html

有価証券の相場を釘付けし、固定または安定させる目的をもって、有価証券市場における一連の売買取引を行う、またはその委託もしくは受託をすること。
安定操作は、人為的に有価証券市場における相場を形成するものであり、相場操縦行為として投資家保護に反する行為として禁止されている。しかしながら、有価証券の募集または売出しにより大量の証券が一時に市場に放出されるなど、一定の要件の元では金融商品取引法上認められている。

 


三愛石油の売出の安定操作(例)】


<売出概要>

条件決定日(2022/1/24)終値:964円
売出価格:935円(ディスカウント率3.01%)  
申込期間:2022/1/25~2022/1/26
売出株数:6,180千株、売出総額:5,778,300千円

 

<安定操作>
https://www.jpx.co.jp/markets/public/stabilization/nlsgeu0000065015-att/8097-220126-a.pdf
実施日:2022/1/26
安定操作取引に係る買付数:329,100株
成立価格:935~円

 

<同日株価(円)>
始値:940、高値:944、安値:935、終値:935
出来高:2,457,200株

⇒ 申込期間中に株価が売出価格(935円)未満で推移すれば、投資家は市場から買った方が良い
⇒ 主幹事証券は、そうならないように安定操作を実施(人為的に935円以上で取得して相場を形成)

 


<感想>
本当にブロックオファーのための相場操縦があったのか。
早期真相解明を祈念している。

 

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あれっ、NATO東方不拡大の約束はロシアのプロパガンダ?

 

NATOの東方不拡大の「約束」】

 


 2022/3/2、国際経済学者の細谷雄一氏が、『NATOの東方不拡大の「約束」はなかった ー最新の外交史研究の成果から』のブログを掲載された。
https://note.com/yuichihosoya/n/n778caf033b27

 以下は一部抜粋。

 


プーチン
NATOが東方不拡大の約束をしてそれを破り、ロシアの安全が脅かされて、ほかに方法がなくやむを得ずにウクライナを攻撃したという論法

 


サロッティ教授(米国人外交史家)
NATO東方不拡大の約束はない」と明言


1990年2月9日のベイカ国務長官の、ゴルバチョフ書記長とのモスクワでの会談での発言

1)ベイカーがドイツ統一ソ連による承認を得るために、色々な条件を述べた中でそのような可能性(not one inchという言葉)を示唆したということであって、具体的には北大西洋条約5条の集団防衛条項を冷戦期の分断線を越えて拡げないという提案をした

2)その後モスクワからワシントンに戻ってブッシュ大統領に報告をした際に、ブッシュ大統領はそのようなベイカーの提案は到底アメリカ政府として認められないということで、却下


実際にはそのようなベイカーの提案があくまでも米国政府の正式な提示ではなかったので、文章化もなかった

 

通常は外交では「約束」といった場合には、文書化して署名が必要であり、そのことはゴルバチョフも理解していたはずなので、その点では「約束」があったとは両者とも認識していない、と言及。なので、「約束は、なかった」ということに

 

ただこのようなベイカーの発言自体は、ロシア政府側の記録に残っていたために、1997年にクリントン大統領とエリツィン大統領がNATO東方拡大についての米ロ首脳会談をした際に、ロシア政府側から「1990年のベイカー発言」について問題提起があった

 

それに対してクリントン大統領は、1990年の「約束」とはあくまでもドイツ統一に関連した内容で、中東欧諸国についてではないと論じ、それをエリツィンも了解。これで、米ソ両国とも、1990年に米ソ間でNATO東方不拡大についての「約束」があったわけではないことを、確認した

 


ともあれ、れいわ新選組がロシアのプロパガンダを鵜呑みにしたことによって、せっかく国会で全会一致でロシアのウクライナへの軍事攻撃と、それに伴う人道的被害を批判する決議を採択できる機会を失ってしまいました。残念です。

 


ご参考)2022年1月31日
NATO不拡大の約束はなかった
――プーチンの神話について

袴田 茂樹
日本国際フォーラム評議員/安全保障問題研究会会長/青山学院大学名誉教授
https://www.jfir.or.jp/studygroup_article/7401/?fbclid=IwAR2Z8IIzaA06-acPI2U3AA-gBYb9KMvsws3S13bAUWULR3giKdXl1PFJ7ZU

 


<感想>
 ロシア(プーチン大統領)が繰り返す「NATO東方不拡大の約束」発言。
 プロパガンダに踊らされることなく、事実(史実)の確認が必要だと思われる。

 

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あれっ、台湾の戦争確率はウクライナ並み?

 

【 台湾の戦争確率 】

 


 2022/2/28、高橋洋一さんが、現代ビジネスに『ウクライナ情勢を読み解く 「9条で日本を守れるのか?」という議論の正解を教えよう』を掲載された。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/92912?page=2

 以下は一部抜粋。

 


戦争確率を減らすために、(1) 同盟関係をもつこと (2) 相対的な軍事力 (3) 民主主義の程度 (4) 経済的依存関係 (5) 国際的組織加入が重要であり、それぞれについて戦争確率をどの程度減らすのかを定量的に論じている。(1)と(2)はリアリストの立場、(3)(4)(5)はリベラリストの立場であり、ともに一理あることを定量的に分析したものだ。

 

今回のウクライナの事例で考えると、相手国が国連常任理事国であると、国連が機能しないことなどから(4)と(5)は意味がなくなる。

 


ウクライナの場合、(1) 同盟なし (2) ロシアに比べて劣る軍事力 (3) ロシアの民主度は低い(英エコノミスト誌による2021年の民主主義指数は3.24。世界167ヵ国中124位)から、起こるべくして起こったともいえる。

 


今の日本を考えると、(1) 日米同盟あり (2) 中国・ロシアに比べると劣る軍事力 (3) 中国・ロシアの民主度は低い(前述したものでみると、中国の民主主義指数は2.21、世界67ヶ国中148位)なので、(1) を除くと、ウクライナと大きな違いはない。

 

台湾で見ると、(1) 明示的な同盟なし(戦略的曖昧) (2) 中国に比べると劣る軍事力 (3) 中国の民主度は低いなので、ウクライナと似たような状況だ。台湾が有事になれば、尖閣も巻き込まれるので日本の有事でもある。

 


<感想>
 同盟関係、相対的な軍事力と相手国の民主度から見た戦争確率は、台湾はウクライナと似たような状況だという。
 日本も台湾有事を想定した危機対応施策を検討しておく必要がある。



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