元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、自分の内側の問題を解決するHIROBA?

 

水野良樹のHIROBA:鷲田清一との対談 】

 


 いきものがかり水野良樹さんが、HIROBAの新公式サイトに、鷲田清一さんとの対談を掲載していた。
https://hirobaweb.com/washidakiyokazu_2/

 

 以下は一部抜粋。(その2)

 


ひとは生きている”しるし”の集まり

 

鷲田:視点がひとつじゃないことを書いている。てつがくカフェもそうだと思う。同じ悩みのように見えるものでも実は違うかたちで語るひとがいることを知ると、もう1回自分を見つめ直すきっかけになるじゃないですか。その多視点性を経験できるのが、てつがくカフェとか、この小説とか、HIROBAというプロジェクトのおもしろさだと思う。水野さんが自分の本職から離れたひとに会いたいとおっしゃるのも、そういうことなんじゃないかな。

 

水野:おっしゃるとおり、他者の視点を見てみたい、自分だけの視点が寂しくてしょうがないというのがあって。他の分野の方と曲づくりをするのも、曲という“焚火のような存在”をあいだに置いてみて、それを眺めて語り合うことで、ひとつの物語のなかでは一緒になれるみたいなことを表現したいと思ってやっていたんです。

 

 

水野:いい意味でも悪い意味でも、自分がコントロールできない外側の存在からの応答なり、やり取りが、自分の内側の問題を解決していく、ちょっといいほうに動かしたりする。そういうことが絶えず行われ続けている場所としててつがくカフェに惹かれて、そこに僕が悩んでいることのヒントがあるんじゃないかと思ってしまって。

 


鷲田:今、焚火という言葉をおっしゃって「そうか、音楽って焚火みたいなものか」って思ってね。焚火ってまず暖かいじゃないですか。それから、会議室だったら沈黙のとき、「居づらいな…」って思うけど、焚火のまわりっていうのは不思議なもので、無理に話をしなくても、何も考えなくてもそこにいられる。他者による脅迫みたいな怖さを感じることもなく、一緒にいられる。だから焚火っていい比喩だなと。

 


水野東日本大震災のときに、こういう仕事をしていると、「ひとを励ます歌をつくってくれ」と言われがちなんですね。もちろんつくれるものならつくりたいけれど、今「元気出せよ!」って歌をつくったら、確実に傷つけてしまうひとがいる。

 

だから何をつくっていいかわからない。そうやって無力感に苛まれていたとき、テレビのニュースで、自身も被災した中学生たちが僕らの「YELL」という歌を同じように被災された方々に対して歌っていた映像を観たんですよ。つくった人間はこんなに悩んでいるけれど、歌は悲しみの当事者とほどよく距離をとっている。

 

悲しみの状態にある方も、自分の悲しみに合わせて歌と向き合っている。悲しみが重過ぎれば聴かないし、悲しみに寄り添ってほしいと思ったら、僕らが思う以上に深く歌を聴いているはずで。そういうふうに、歌のような“人間でないもの”のほうがひとを助けるのかもしれないなって感じて。それはたとえば焚火であったり、毎年咲く桜であったり。そういう存在になれないかな、なれないな…っていう堂々巡りをしているんです。

 


<感想>
水野良樹さんのHIROBAは、他の分野の方との曲という“焚火のような存在”を通じて、自分の内側の問題を解決する”場”であるように思われた。

 

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