元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、過半を占めた取締役会での結論?

 

【 東洋建設の取締役会:YFOのTOB提案に反対 】

 


 2023/12/14、東洋建設が、「合同会社 Yamauchi-No.10 Family Office 及び株式会社 KITEからの当社株式に対する公開買付けの申込みに関する意見表明(反対)のお知らせ」をリリースした。
https://www.toyo-const.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/12/20231214.pdf

 

 以下は、その概要(その1)。

 


< 取締役会がYFOのTOB提案に反対する理由 >

資料:1)法的助言(長島・大野・常松LO)、2)株式価値算定書、3)答申書(特別委員会)

 

検討:1)当社の企業価値向上に資するか否か、2)取引の手法・取引条件が公正・妥当か否か

 

協議:当社株主に対してTOBへの応募を推奨するべきか否かについて慎重に協議

 

比較:1)買収者が提示するTOB価格や企業価値向上策と2)現経営陣が経営する場合の企業価値向上策とを「定量的」な観点から十分に比較検討

 

株式価値算定書:当社中期経営計画(「中計」)と企業価値向上策(YFO) の定量的比較において、 ROIC以外の各観点で当社中計が企業価値向上策(YFO)を相当程度上回っている

 

YFOの企業価値向上施策:具体化されたのはごく一部で、具体化施策も事業環境等の誤認に基づく施策の提示が散見され、またその実現可能性も疑問が払拭できず、当社の既存施策に対して優位であるとは認められない

 

(主要な施策の1つとされる短中期的な投資に限定することで、※先行者利益が見込まれる洋上風力事業ができなくなることや非上場化に伴って懸念される弊害への考え方や対処方法についても満足な説明は得られず。

 

※新規分野への参入は、投資リスク・投資効率を考慮しつつ、財務状況に重大な負担を与えない範囲で大胆に先行投資をして先行者利益を追求すべき場合もあり、当社にとっての洋上風力事業はまさにこの例)

 


以上を踏まえ、当社は、本取引が当社の企業価値向上に資するものであるとは認められないと結論付けた


TOB価格:株式価値算定書によれば、 当社中計の重要な施策である洋上風力事業への進出(自航式ケーブル敷設船建造のための投資による本格的な収益貢献は当社中計後の2028年度以降から想定) を加味した2030年度までの事業計画に基づくDCF法による算定株価のレンジの中央値をかなり下回る価格で、当社の本源的価値を十分に反映した価格ではない

 

YFOのTOB価格1,255円:HP上で公表の9月26日前日(9月25日)終値(1,241円)の1.13%、直近1か月平均(1,145円)の9.61%、直近3か月平均(1,091円)の15.03%のプレミアムしかなく、11月22日~12月13日の各日終値も下回り、当社株主に十分なプレミアムとはいえない

 

ご参考)任天堂創業家、東洋建設株を巡る「1年戦争」に決着 取締役の過半を握ったYFOは「完勝」したのか
https://toyokeizai.net/articles/-/683563

 

東洋建設が推薦した取締役:6名(内、社外2名)

YFOが提案した取締役:7名(内、社外5名)

→合計:取締役13名(内、社外7名)

 


<感想>
YFO提案の過半数の取締役を含めた東洋建設の取締役会の結論は、YFOのTOB提案に反対するものだった。
東洋建設の取締役として、「真摯な検討」がなされたものと思われる。

 

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