元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、鑑定評価額による租税は適法?

 

最高裁判決:合理的理由による非画一的評価 】

 


 前日に続いて、国税庁長官の指示に基づいた価額を是認した「最高裁判決」からの 一部抜粋。(その2)
091105_hanrei.pdf (http://courts.go.jp)

 


7.租税法上の一般原則としての平等原則
もっとも、本件購入・借入れが行われなければ本件相続に係る課税価格の合計額は6億円を超えるものであったにもかかわらず、これが行われたことにより、本件各不動産の価額を評価通達の定める方法により評価すると、課税価格の合計額は2826万1000円にとどまり、基礎控除の結果、相続税の総額が0円になるというのであるから、上告人らの相続税の負担は著しく軽減されることになるというべきである。

 

そして、被相続人及び上告人らは、本件購入・借入れが近い将来発生することが予想される被相続人からの相続において上告人らの相続税の負担を減じ又は免れさせるものであることを知り、かつ、これを期待して、あえて本件購入・借入れを企画して実行したというのであるから、租税負担の軽減をも意図してこれを行ったものといえる。

 

そうすると、本件各不動産の価額について評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことは、本件購入・借入れのような行為をせず、又はすることのできない他の納税者と上告人らとの間に看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反するというべきであるから、上記事情があるものということができる。

 


8.結論
したがって、本件各不動産の価額を評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが上記の平等原則に違反するということはできない。 以上によれば、本件各更正処分において、札幌南税務署長が本件相続に係る相続税の課税価格に算入される本件各不動産の価額を本件各鑑定評価額に基づき評価したことは、適法というべきである。所論の点に関する原審の判断は、以上の趣旨をいうものとして是認することができる。論旨は採用することができない。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

 


9.主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

(裁判長裁判官 長嶺安政 裁判官 戸倉三郎 裁判官 宇賀克也 裁判官 林 道晴 裁判官 渡 惠理子)

 


<感想>
本件のような行為ができない他の納税者との間に看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反するから、画一的でない鑑定評価額に基づく評価を適法とする「最高裁判決」は合理的であると言えそうだ。

 

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