元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、買収者の完全子会社によるメリット>デメリット?

 

ファンケル:キリンによるTOB

 

 

 2024/6/14、ファンケルから「キリンホールディングス株式会社による当社株式等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨に関するお知らせ」がリリースされた。
https://www.fancl.jp/ir/pdf/1.pdf


 以下は、リリース資料からの一部抜粋。(その2)

 

 

当社の意思決定の内容(P16~)

6月14日 当社取締役会:TOBを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及びTOB価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議及び検討

 

⇒ 結論:本取引は当社の企業価値の向上に資する

 

 

1. 本取引の実行により当社がキリングループの有する情報及び経営資源を最大限に活用することができるようになり、当社製品の拡販、業務効率の向上、海外進出やM&Aを通じた事業拡大等を実現することが可能になると考えている

 


2.上場廃止に伴う一般的なデメリット:
1)資本市場から資金調達を行うことができなくなること


2)取引先を含む外部からの社会的信用の獲得、知名度の維持といった上場会社であることによるメリットを享受できなくなること


3)ブランドイメージの低下


⇒ しかしながら、

1)資金調達:キリングループの潤沢なキャッシュ(現金及び現金同等物151,207百万円(2024年3月末、連結))を活用できることから、資金調達に関する影響はないこと


2)取引先の信頼関係:既に一定程度構築されており、上場廃止を理由に既存の取引関係が大きく剥落することはないと考えられること 、東証プライム市場上場会社であるキリンのイメージは非常に高く、キリンの完全子会社となることで当社の社会的信用や知名度は維持・向上することが期待されること


3)これまでの事業運営により積み重ねてきた信頼や獲得してきた知名度上場廃止により直ちに失われるものではないこと


⇒ 本取引後も、かかるデメリットによる影響は僅少であり、上記の当社の企業価値向上が見込まれるメリットを上回らないものと考えている

 

 

3.TOB価格2,690円:
1)TOB価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置が十分に講じられた上で、本特別委員会の実質的な関与の下、キリンとの間で十分な交渉を重ねた結果合意された価格であること


2)当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法及び類似企業比較法による算定結果の範囲を上回っており、また、DCF法による算定結果の範囲内、かつ、レンジの中央値付近の価格となっていること


3)市場株価法及び類似会社比較法による算定結果の範囲を上回っており、また、DCF法による算定結果の範囲内であり、かつ、レンジの中央値を上回る価格となっていること


4)プルータス(FA)から、TOB価格である1株当たり2,690円がキリンを除く当社の株主にとって財務的見地から公正である旨の本フェアネス・オピニオンが発行されていること


5)6月13日の東証終値1,884.5円に対して42.74%のプレミアムを加えた価格等、十分なプレミアムが確保されていることをもって、合理的な水準であると評価できると判断したこと


⇒ キリンに対し、上記価格提示に応諾する旨を回答し、当社及びキリンは価格条件について最終的に合意

 


<感想>

本件は、ファンケルの取締役会がキリンHDによるTOBに最終的合意に至った意思決定の過程。ファンケル社員にとっても、キリンの完全子会社(&上場廃止)になること⇒「メリット>デメリット」であるように思われる。


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