元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、キリン堂HDもベインと共同でMBO?

キリン堂HD:ベインキャピタルMBO

 


 2020/9/10、キリン堂ホールディングス(3194)が、「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」を発表していた。
https://www.kirindo-hd.co.jp/cms/wp-content/uploads/2020/09/200910_4.pdf

 


< 当該取締役会決議 >
公開買付者が本公開買付け及びその後の一連の手続を経て当社を非公開化することを企図していること並びに当社株式が上場廃止となる予定であることを前提として実施

 


< MBOに至る経緯 >
2000年9月 大証第二部に上場
2003年2月 東証第二部に上場

2004年3月 東証第一部指定
2014年8月 持株会社体制への移行

2020年6月下旬 寺西忠幸氏、寺西豊彦氏及びベインキャピタルが当社に対するデュー・ディリジェンスを開始
2020年8月7日 TOB価格3,000円/株を初回提案

2020年8月21日 同 3,150円/株を再提案
2020年9月5日  同 3,450円/株を再提案

2020年9月10日 同 3,500円/株を再提案、MBOの実施及び応募の推推を発表
(9月9日の終値2,512円に対して、39.33%のプレミアム)

 


< 資金調達 >
出資:公開買付者親会社から 87億円
借入:三菱UFJ銀行、あおぞら銀行及び三井住友銀行から合計273億円(上限)

 


< 対応 >
(i)寺西豊彦氏及び寺西忠幸氏は、本公開買付け成立後も継続して当社の経営にあたる
(ii)寺西廣行氏は、当社の完全子会社であるキリン堂の取締役として引き続き当社を支援する意向を有している
(iii)寺西豊彦氏、寺西忠幸氏及び寺西廣行氏の所有割合の合計と、ベインキャピタルの所有割合が概ね40対60となるよう再出資を行う

 


< 事業構造改革についての取り組み ⇒ 上場を維持したままでの実施は難しい >
中長期的に見れば大きな成長が見込まれる機会であったとしても、
それらの施策が早期に当社グループの利益に貢献するものであるとは考えにくく、
計画どおりに事業が展開しない事業遂行上の不確定リスクに加え、
短期的には売上高・収益性が悪化することも懸念しており、

上場を維持したままでこれらの施策を実施すれば、
当社の株主の皆様に対して短期的に当社株式の市場価格の下落といったマイナスの影響を及ぼす可能性も否定できないとして、
当社が上場を維持したままこれらの施策を実施することは難しいと考えているとのこと

 


< 成長のための大胆な施策 ⇒ 必ずしも全ての株主からの賛同を受けるとは限らない >
例えば短期的な利ざやを得ることを目的とした投資家との間で会社の戦略についての理解に相違があった場合には、
様々なコミュニケーションコストが発生することが想定され、
経営陣のリソースを事業運営に注力することができなくなるリスクがあると認識しているとのこと

 


< 非公開化し、事業構造改革の実行・事業の積極展開に取り組むことが最善の手段であるとの考えに至った >
2020年5月下旬、短期的な当社グループの売上高・収益性の悪化を恐れ、
事業構造改革を縮小する、又は先延ばしにすることは、当社の中長期的な競争力・収益力を弱めることに繋がる可能性があると考え、
その上で、当社が短期的な業績変動に動じることなく、機動的に経営課題に対処し、
長期的な視点を持って持続的な企業価値向上を実現させていくためには、
当社株式を非公開化し、また機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする安定した新しい経営体制を構築した上で、
当社の従業員が一丸となって当社の事業構造改革の実行及び事業の積極展開に取り組むことが最善の手段であるとの考えに至ったとのこと

 


<感想>
 本件は、ベインキャピタルとの共同による、キリン堂HDの非公開化目的のMBO
 ベインが60%出資することから、将来の出口戦略の選択肢として「再上場」が考えられる。
 資金的に問題がなければ、100%出資を目指すべきだろう。

 

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