元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、三井物産がヘルスケア関連企業をTOBで完全子会社化?

 

【 ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス:三井物産によるTOB

 


 2021/11/15、ヒューマン・アソシエイツ・ホールディングス(6575)が、「MBK Wellness Holdings株式会社による 当社株式等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明 及び応募推奨のお知らせ」を発表した。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6575/tdnet/2050614/00.pdf

 以下は一部抜粋。

 


< 公開買付者の親会社である三井物産の概要 >
2021年3月期を初年度とする3ヶ年の「中期経営計画2023」(2020年5月1日に公表)では、ヘルスケア・ニュートリション領域(注)をStrategic Focusの一つとして定め、コアである病院・クリニック事業の強化・拡大、ヘルスケアデータ事業の構築、未病・予防や院外の検査・診断等のサービスから成る健康事業群の確立を主要施策として、ウェルネス事業群の構築を目指している


(注)「ヘルスケア・ニュートリション」とは、病院・周辺事業、医療データ事業、統合型ファシリティマネジメント、栄養指導と未病(病気ではないが、健康でもない状態)対策等の医と食の融合による複合価値の創出を目指し、既存事業をプラットフォームに複合的な価値創造が可能と考えている分野

 


< 当社の概要 >
「人材の価値を高め、組織を活性化し、働く人の幸せと社会の未来を創造する」をMISSION(使命)とし、「未来をつくるのは、人の力だ」を新たなグループ理念として掲げ、「世界でいちばん、はたらく人の幸せを考えるコンサルティンググループ」をVISION(未来像)として、「人的資本投資の積極化による企業価値の向上」、「健康経営の促進によるウエルビーイングの実現」に関するソリューションを、主として企業人事部門に提供することを志向し、
1)企業で働く従業員の方々が、より健全な心身で仕事ができるようサポートするEmployee Assistance Program事業、

2)クライアント企業の業績向上につながる個別性の高い学習プログラムを提供する「人材育成事業」、

3)転職希望者がより活躍できる機会を提供し、企業の適材適所のサポートをする「人材紹介事業」

の3つの事業を手掛けている

 


< 本公開買付けを提案するに至った背景及び目的 >
2021年4月中旬に三井物産との協業についての議論を開始した当初から、当社は、三井物産による当社の完全子会社化に伴い既存の一般株主に不利益が生じないかという点及び2018年4月の東京証券取引所マザーズ市場への上場からあまり時間が経過していない段階で上場廃止となることに懸念を示していた。


しかしながら、三井物産の説明を受けて、当社は、上場企業として信用力の向上により事業規模を拡大し、企業価値の向上を図る目的で東京証券取引所マザーズ市場に上場を果たしたところ、本取引に伴う完全子会社化によって上場廃止に至ったとしても、三井物産と業務の共同体制を構築していくことは、上場当初の目的と照らし合わせても何ら遜色ないと判断するに至った。

 

加えて、当社が「2021-2023年度中期経営計画」で目指す「各事業セグメントにおけるソリューション領域拡大」と「グループ全体でのDX推進」には、多額の人的・物的資本の投下が必要になる。


上場維持を前提とした連結子会社化では、このような中長期的には企業価値の向上につながる施策であっても、多額の資本投下が見込まれ、短期的な株価の上昇につながらない施策については、引き続き三井物産以外の当社の株主の皆様の利益のために実施することが困難であることから、三井物産の完全子会社となることによって、短期的な利益にとらわれず、中長期的な視点での利益を見据えた施策を三井物産と実施していくことが当社の企業価値の向上により資すると認められたことから、当社は、2021年9月下旬に、企業価値の向上の観点からは、本取引に伴って三井物産の完全子会社となることが上場維持を前提とした連結子会社化よりも望ましいと判断し、三井物産による当社の完全子会社化に限定して協議を進めることに応諾した。一方で、当社が三井物産の完全子会社となった場合、当社株式は上場廃止になることから、当社の既存の一般株主に不利益が生じないように、本公開買付けにおける買付け等の価格を含めた本取引に係る詳細な条件について協議を行うことが必要であると当社は同時に認識するに至った

 


< 本公開買付(TOB)価格の交渉の経緯 >
2021/10/19 三井物産TOB価格を880円とした算定手法の質問に対する回答書を提出

 

2021/10/25 当社からTOB価格を970円とするよう要請

 

2021/10/28 三井物産TOB価格を900円とする再提案を行った

 

2021/11/ 2 当社から再度、TOB価格を970円とするよう要請

 

2021/11/ 8 三井物産は最終提案として、TOB価格を915円に増額提案

 

2021/11/12 当社が当該提案に応諾


(i)当社が選定したG&Sソリューションズによる株式価値の算定結果
 市場株価法による評価レンジ:679円~696円
 類似会社比準法による評価レンジ:863円~925円
 DCF法による評価レンジ:823円~967円

 

(ii)2021/11/12の終値688円に対して32.99%、同日から過去1ヶ月間の終値単純平均値684円に対して33.77%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値679円に対して34.76%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値696円に対して31.47%と、いずれにおいても30%以上のプレミアムを確保

 

iii)三井物産より、915円は最終提案であることが明示されており、これ以上の増額を見込むことは困難であると判断したこと

 


< 応募合意株主 >
大和PIパートナーズ(筆頭株主):1,076,400株(31.24%)
渡部昭彦(第2位株主、社長):462,460株(13.42%)
西田忠康(第5位株主、完全子会社社長):160,896株(4.67%)
合計:1,699,756株(49.33%)

 


< 大量保有報告変更報告書 >
提出者:大和PIパートナーズ
報告義務発生日:2021/5/2
提出事由:株券等保有割合1%以上の減少
保有目的:純投資
保有株式数:1,076,400株
保有割合:36.36%(41.46%から減少)
処分の状況:4/10 770,000株・5/2 147,600株(単価@1,076.40)
取得資金:394,230千円(大和証券グループ本社から借入)
簿価:@366.25

投資期間5年とした場合の単利:約30%
((915-366.25)÷366.25÷5)

 


<感想>
 本件は、三井物産によるヒューマン・アソシエイツHD宛てTOB案件。
 予め49%超の株主とのTOB応募の合意が、本件の背景にあったと思われる。

 

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