【 武器使用基準の緩和 】
2023/2/17、弁護士ドットコムニュースに、『日本に飛来した偵察気球、撃墜できる? 「予備自衛官」の弁護士が自衛隊法84条を解説』が掲載された。
https://www.bengo4.com/c_18/n_15666/
以下は一部抜粋。
●自衛隊法84条は「有人の航空機」を想定したもの
——自衛隊法84条はどのような規定でしょうか
「防衛大臣は、外国の航空機が国際法規又は航空法その他の法令の規定に違反してわが国の領域の上空に侵入したときは、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができる」(84条)
84条は条文上「着陸させ」「退去させ」からもわかる通り、もともと「有人」の「航空機」を対象とし、地上に着陸させたり、退去させたりすることによって日本領空の秩序を回復させるための規定です。
●現行法による結論は「気球を撃墜できない」
——これらの議論を今回のケースの気球にあてはめるとどうなりますか
気球が領空侵犯を継続した場合には、武器の使用が認められますが、同条が想定しているのはあくまで強制着陸や領空外退去のための武器使用がメインです。しかも気球はデータや情報を収集しているだけであり、ただちに攻撃してくるわけではないことを前提とすると、正当防衛や緊急避難としてただちに撃墜することは難しいと思われます。
以上より、84条を素直に解釈すると、気球を撃墜することはできないということになってしまうので、ここは早急に法改正すべきではないかということになります。
——そのような中で、自民党の安全保障調査会などは16日、無断で領空に侵入した無人機を自衛隊が撃墜できるようにするため、政府が示した武器の使用基準を了承しました
本来的には従来の自衛隊法84条では想定していない事態なので、理想論を言えば、法改正で対応すべきですが、法改正には時間がかかるのも事実です。
今回の政府による武器使用基準の緩和は法改正している時間がない中では、苦肉の策としてやむを得ない対応だと思います。
自衛隊員はみなさんプロフェッショナルで日々訓練をして練度をあげています。いざというときに指揮官並びに現場の自衛隊員が速やかに所要の措置を取れるように領空侵犯に対処するための武器使用の要件を法律でわかりやすく規定すべきだと考えます。
ご参考)2023/2/16 日経電子版『気球の撃墜「空路の安全確保」目的で可能に 政府表明』
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1675F0W3A210C2000000/
<感想>
1)法改正には時間がかかる、2)事態発生時には早期対応が必要な状況下、武器使用基準緩和の政府判断はやむを得ない対応ではあるが、3)後日、武器使用の要件を法律で規定すべきとする、警察官僚出身で陸上自衛隊予備自衛官の資格も有する澤井弁護士の考えに賛成である。
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