元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、増税と天下りが2つの省益?


【 財政省の2つの省益 】

 


 2023/4/24、現代ビジネスに、高橋洋一さんが、「『安倍晋三回顧録』を批判した「大物」大蔵次官の文春インタビュー記事に反論しよう」を掲載した。
https://gendai.media/articles/-/109448?imp=0

 

 以下は、一部抜粋。

 


安倍晋三回顧録』(中央公論新社)を読むと、財務省がどれほど日本の政治・経済の足かせとなっているかがよくわかる。私が数えたところ、財務省に言及している部分は、なんと71ヵ所もあった。たとえば安倍さんが消費税の10%への引き上げを延期しようとした際、財務省は「安倍政権批判を展開し、私を引きずり下ろそうと画策した。彼らは省益のためなら政権を倒すことも辞さない」とまで書いている。

 

 

齋藤氏のインタビュー記事の読みどころは、


「大幅な赤字財政が続いている日本では、財政健全化のために増税は避けられず、そのため財務省はことあるごとに政治に対して増税を求めてきました」


と述べている部分だ。

 

 

この財務省の「国の借金が大変だから増税する」というロジックだが、筆者は大蔵省入省当時から疑問だった。借金があるのなら、増税ではなく「資産」を売ればいい。このロジックを会社で例えるなら、経営不振に陥り倒産間際の会社が、資産を売らずに営業利益だけで借金を返そうと四苦八苦するようなものだ。

 

 

政府の財政状況を見るには、BSの借金残高だけでは不十分で、左側の資産も考慮し具体的には資産を控除したネット借金残高で見なければいけない。これはファイナンス論・会計論のイロハである。しかし、当時の大蔵省は資産を対外的に明らかにすることには恐ろしく消去的で、ある幹部から筆者はBSを口外するなと厳命を受けた。それが事実上解けたのは小泉政権になってからだ。

 

 

斎藤氏は、郵政民営化から事実上の国営化に乗じて政府が株主であることに乗じて天下りをしたわけだ。最近、東京メトロへの国交省からの天下りが問題になったが、それも上場を延期するなど政府が株を手放さないことからおこる。財務省も、JTの大株主であることを利用して天下りをいまだに続けている。


安倍さんが、財務省が「省益」を追及しているというのは、例えば借金返済のために増税を主張するが一方で資産売却を渋り天下りに拘泥することをいっている。


これで、齋藤氏ほど財務省増税指向と天下り指向を体現している人はいないという意味がわかるだろう。ちなみに、齋藤氏は民主党政権が終わると、自分は退任し次の社長に再び財務省からの天下りをすえようと画策したが、安倍政権に見つかり失敗した。
もちろん、増税すれば財務官僚の差配するカネが増えるのも財務省の「省益」だ。

 


<感想>
 財務省の2つの省益、1)増税指向(財務官僚の差配するカネが増える)、2)天下り指向(大株主を利用する&資産売却を渋る)を体現した、齋藤元財務次官。
 増税ではなく、(民間企業では常識な)資産売却による「財政健全化」を目指して欲しい。

 

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