元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、女性役員がいない場合は反対推奨?

 

【 女性役員30%の達成 】

 


 証券会社勤務時代の同僚が、添付のセミナーを実施していた。
https://onboardkk.com/seminars/fe_20230803/

 

 以下は、セミナー資料からの一部抜粋。(その3)

 


女性役員30%を達成するには ー女性活躍の最新動向ー 【上場会社編】

 


10.議決権行使助言会社機関投資家の動向
(1) 議決権行使助言基準(P39~P40)
1)ISS 日本
・23年から、取締役会に女性取締役が一人もいない場合は、経営トップである取締役に対して反対推奨

 

2)Glass Lewis 日本
・22年から、全上場企業について、女性役員 がいない場合、会長(会長職が無い場合は社長)、 指名委員会委員長等に反対助言
・23年から、プライム市場上場企業について、取締役会に10%以上の女性がいない場合、反対助言

 

3)ブラックロック
・2023年1月より、女性の取締役又は監査役が2名以上選任されていない場合(TOPIX100)、 その理由に関して合理的な説明がなされなければ、取締役会構成に責任のある取締役の再任に反対(現在は女性役員1名以上)
・執行を含めた社内パイプラインの充実度合いについても考慮(業界ごと)

 

(2) 女性役員・女性取締役が不在の場合の経営トップに対する反対率の状況(P43)
・「女性役員」「女性取締役」ともに不在(0名)の場合に国内外投資家の平均反対率は大幅に上昇。2023年以降、議決権行使基準において対象市場の拡大や人数要件の引上げを実施済または検討中の機関投資家がいるため、判定率はさらに上昇する可能性がある。

 

(3) 最近のニュースから(P44)
・キャノン:第122期 定時株主総会(2023年3月30日開催)議決権行使の結果より
 第2号議案 御手洗 富士夫 賛成率50.59% 可決(在任期間が長期すぎる)

 

(4) 株主・機関投資家の動向(P47)
・アクティビストが株主還元求め日本企業に攻勢、提案数最多
 2023年の提案数は、直近で43件(2023年5月11日時点)、昨年同時点の27件を上回る-IRジャパン

 

(5) 東証の対応
1)東証のPBR改革(P48)
東証により「PBR1倍に関連した計画策定やその開示」の要請。今秋レビュー。
・23年7月から「JPXプライム150指数」(「価値創造が推定される我が国を代表する企業」)の運用開始

 

2)CGコード(P49)
【原則5-2.経営戦略や経営計画の策定・公表】
経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、自社の資本コストを的確に把握した上で、収益計画や資本政策の基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人的資本への投資等を含む経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて、株主に分かりやすい言葉・論理で明確に説明を行うべきである。

 

補充原則 5-2 ①
上場会社は、経営戦略等の策定・公表に当たっては、取締役会において決定された事業ポートフォリオに関する基本的な方針や事業ポートフォリオの見直しの状況について分
かりやすく示すべきである。

 


11.女性管理職の現状(P53)
・就業者における女性の割合・管理職に占める女性の割合
フィリピン:38.6%・53.0%、スウェーデン:46.9%・43.0%、日本:44.7%・13.2%

 


12.サステナビリティ開示
(1) 有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の開示(P55)

【人的資本】
・人材育成
・社内環境整備

【多様性】*数値による開示の義務化
・女性管理職比率
・男性の育児休業取得率
・男女間の賃金格差

2023年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書から適用

 

(2) 女性活躍推進法に基づく男女の賃金の差異の情報公表(P56)

【項目】
・全労働者・正規・非正規の賃金の差異
・「説明欄」の有効活用

背景事情
 より詳細な雇用管理区分での差異
 属性(勤続年数、役職等)が同じ男女労働者の間での差異

要因分析(役職や勤続年数の差)→行動計画

2022年7月以降最初に終了する事業年度から3か月以内に公表

 


13.女性役員が会社を選ぶ要素(P93~P94)
・業種×報酬=候補者の数

(1) 業種
・専門性や経験が生かせる業種
・女性が共感できる業種

(2) 報酬

 


14.選任に際しての注意事項
(1) 社外取締役の兼任者数の上限(P98)
社外取締役の兼任を制限している企業のうち、半数の企業は事前承認を求めている。
・兼任数の上限を設定している場合、本業を含み自社以外に3~4社までとしている場合が多い。

 

(2) 兼任状況(P99)
1社 83.9%、2社 12.0%、3社 3.2%、4社 0.7%、5社 0.1%

 

(3) 議決権行使基準(反対の場合)(P100)
・5社以上(三井住友DSアセットマネジメント)
・5社以上+出席率(SONPOアセットマネジメント、りそなアセットマネジメント)
・6社以上(グラスルイス)

 


15.在任期間
(1) 社外取締役の在任期間(企業側の認識)(P104)
社外取締役の在任期間が特に1~2年の企業では、企業側は、より長期間にわたり同一の社外取締役が務めてくれることを望んでいる。
・全体としては、6年が一つの目安で、9年以上になると「長すぎる」と感じる企業が増える傾向。

 

(2) 議決権行使基準(反対の場合)(P105)
・10年以上(富国生命投資顧問)
・12年以上(野村アセットマネジメント、りそなアセットマネジメント)

 


ご参考1)女性役員の育成・紹介に特化した『OnBoard株式会社』設立
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000080227.html

 

ご参考2)女性版骨太の方針2023(女性活躍・男女共同参画の重点方針 2023)概要
https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/pdf/sokushin/jyuten2023_setsumei.pdf

 


<感想>
機関投資家は、サステナブルな観点から、今後ますます、女性役員比率を含めた人材の多様性を求めていくに違いない。

 

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HP http://tsuru1.blog.fc2.com/
Twitter https://mobile.twitter.com/tsuruichipooh
----------------------------------------------------------------------