元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、弁護士が任期付公務員として経産省に赴任?


【 企業買収における行動指針 】

 


 月刊 監査役 No.756(2023/11)に、以下内容が添付記事が掲載されていた。(その1)


「企業買収における行動指針」について

保坂泰貴 弁護士(前経済産業省 経済産業省政策局 産業組織化 課長補佐)
https://www.mhmjapan.com/ja/people/staff/17554.html

 


1.はじめに
 経済産業省は、2023年8月31日、「企業買収における行動指針」(以下「本指針」という。)を策定・公表した。

 

 上場会社の経営支配権を取得する買収を巡る当事者の行動の在り方を中心に、M&Aに関する公正なルール形成に向けて経済社会において共有されるべき原則論及びベストプラクティスを提示するものである。

 


2.本指針策定の背景
コーポレートガバナンス・コード等が定められ、社外取締役の比率は大きく上昇したが、コーポレートガバナンス改革の「実質化」は道半ばである。

 

・中長期的な企業価値や資本効率の向上への意識は高まっているが、PBRが1倍を下回る上場企業が他国と比較して多い状況にある。

 


3.本指針の概要
(1) 本指針の目的
 本指針の直接的な目的は、上場会社の経営支配権を取得する買収を巡る当事者の行動の在り方を中心に、M&Aに関する公正なルール形成に向けて共有されるべき原則論及びベストプラクティスを提示することである。

 

(2) 本指針の対象取引
 本指針はいわゆる「買収」を対象とするものであるが、具体的には、買収者が金銭を対価として、公開買付け、市場内買付け、相対取得等により上場会社の株式を取得することでその経営支配権を取得する行為を主な対象としている。また、株式を対価とする株式の取得や、合併、株式交換、株式交付等の組織再編によって上場会社の経営支配権を取得する場合も対象として該当し得るとしている。

 


4.原則と基本的視点
(1) 3つの原則
 本指針は、上場会社の経営支配権を取得する買収一般において尊重されるべき原則として、以下の3つを提示している。

 

第1原則:企業価値・株主共同の利益の原則
 望ましい買収か否かは、企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、又は向上させるかを基準に判断されるべきである。

 

第2原則:株主意思の原則
 会社の経営支配権に関わる事項については、株主の合理的な意思に依拠すべきである。

 

第3原則:透明性の原則

 株主の判断のために有益な情報が、買収者と対象会社から適切かつ積極的に提供されるべきである。そのために、買収者と対象会社は、買収に関連する法令の遵守等を通じ、買収に関する透明性を確保すべきである。

 


ご参考)経産省「企業買収における行動指針」
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831003/20230831003.html

 


<感想>
経産省の「企業買収における行動指針」は、森・濱田松本法律事務所の保坂弁護士が同省経済産業政策局産業組織課に任期付公務員として赴任時(2021年〜2023年)に、自ら中心となって纏めたものであろう。
今後、M&A実施時には必ず参照される行動指針になるものと思われる。

 

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