元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、日銀の議決延期請求権?

 

日本銀行法:議決延期請求権 】

 


 今月の日経新聞私の履歴書」は、武藤敏郎元財務次官。

 以下は、1月21日付け履歴書の一部抜粋。
https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=2&ng=DGKKZO77795770Z10C24A1BC8000&scode=8301&ba=1

 

 

大蔵次官 ゼロ金利解除に延期請求 中央省庁再編で財務省が発足


2000年6月、大蔵次官に就任した。すぐ直面したのが、8月11日の日銀によるゼロ金利政策の解除だ。速水優日銀総裁は7月にも政策変更に動こうとされたが、我々は景気の足取りは怪しく、時期尚早だと考えていた。

 

宮沢喜一大蔵大臣は速水総裁に解除を思いとどまるよう水面下で自ら説得されたが、議論はかみ合わなかったようだ。そこで堺屋太一経済企画庁長官が「政府は日銀法19条に基づく議決延期請求権を発動すべきだ」と提案された。

 

1998年施行の新日銀法は、金融政策に関する日銀の独立性を強化したうえで政府との「十分な意思疎通」も求め、政府に議決延期請求権を与えた。私は総務審議官として新日銀法制定に関わり、ドイツ連邦銀行ブンデスバンク)を参考にしてこの請求権の導入を強く主張していた。

 

宮沢大臣に導入の経緯を詳しく説明し、賛同していただいたが、こんなに早く現実に発動するとは思わなかった。

 

ただ、議決延期請求に強制力はなく、日銀は金融政策決定会合で否決してゼロ金利解除に踏み切った。その後、我々が予測したとおり景気は再び下降し始め、日銀は2001年3月に前例のない量的緩和政策にかじを切る。

 


日本銀行
(政府からの出席等)

第十九条 財務大臣又は内閣府設置法第十九条第二項に規定する経済財政政策担当大臣は、必要に応じ、金融調節事項を議事とする会議に出席して意見を述べ、又はそれぞれの指名するその職員を当該会議に出席させて意見を述べさせることができる。

 

2 金融調節事項を議事とする会議に出席した財務大臣又はその指名する財務省の職員及び経済財政政策担当大臣又はその指名する内閣府の職員は、当該会議において、金融調節事項に関する議案を提出し、又は当該会議で議事とされた金融調節事項についての委員会の議決を次回の金融調節事項を議事とする会議まで延期することを求めることができる。

 

3 前項の規定による議決の延期の求めがあったときは、委員会は、議事の議決の例により、その求めについての採否を決定しなければならない。

 


<感想>
日銀がマイナス金利解除に踏み切る際には、強制力はないながら、日銀法第19条2項に基づいた「マイナス金利解除」の議決延期請求権を発動して欲しい。

 

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