元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、自分自身で考える力を高める?

 

【 中学生からの大学講義:内田樹

 


 以下は、「続・中学生からの大学講義1 学ぶということ」(ちくまプリマー新書)からの一部抜粋。

 


生きる力を高める 内田樹(その1)

 


日本の政治家はこんなとき突如前言を撤回する

 


13年の4月に安倍首相は国会で戦争責任について村山談話を継承しないと明言しました。あれば侵略戦争ではなかったのだから、反省も謝罪もする気はないという本音を漏らしたのです。

 

 すると、すぐにアメリカからきびしい指導が入りました。アメリカは東アジア地域に不要な緊張が起きることを望んでいません。

 

北アジアには北朝鮮というリスクファクターがある。中国、韓国、日本と連携して、北朝鮮発の破局的事態を阻止するということがアメリカの西太平洋戦略の重大な主題です。

 

日本が侵略戦争の責任を否認し、中国、韓国との外交関係が悪化することはアメリカの全く望んでいないことです。ただでさえ、アフガニスタンイラク、シリアに問題を抱えているアメリカとしては、これ以上仕事を増やして欲しくない。

 

ですから、「改憲はノー」のシグナルが送られてきました。それが4月末から5月にかけてのことです。ですから、村山談話を「継承しない」と明言した3週間後に安倍首相は「これまで通り継承する」と前言を撤回しました。

 


 日本の政治家が理由を明かさずに突然前言を撤回するとしたら、それはたいていの場合「アメリカからの指示」だからです。

 


 しかし、改憲は安倍首相の執念ですから、なんとかして実はとりたい。そこで出てきたのが、特定秘密保護法案と集団的自衛権の行使です。改憲という「パイ」をアメリカに拒否されたので、それを2つに分割して、アメリカに「呑ませる」という手口を考えついた知恵者が官邸にいたのです。狡知に長けた人がいるものです。僕はこのずるがしこさには敬意を表したいと思うほどです。

 

 アメリカが反対する限り改憲はできません。でも、改憲の実は取りたい。会見の本丸は戦争放棄を定めた9条2項と表現の自由・集会結社の自由を定めた21条です。9条と21条さえ空洞化できれば、改憲の実質は果たせる。では、9条と21条の空洞化をどうやってアメリカに呑ませるか。それは、どちらも「アメリカの国益に資すること」だという説明をすればよい。

 


属国であることを認めなければ何も始まらない

 

 アメリカの属国であり、その制約ゆえに重大な国策を自己決定できないのであるが、その事実そのものを隠ぺいして、あたかも主権国家であるかのようにふるまっている。だから、政策の意味がわからない。「アメリカの国益に資する」という条件をクリア―しなければ、何も決定できないにもかかわらず、あたかもそれが「日本の国益に資する」政策であるかのようにひとつひとつ偽装しなければならない。逆に、日本の国益を損なうような政策であっても、「アメリカの国益に資する」という説明をホワイトハウスが受け入れれば、簡単に実現される。

 

 その枠組みさえ理解しておけば、理解不能と思えるような日本政府のさまざまな行動も理解しやすくなる。その枠組みを見ないで、日本政府が独自の国益判断に基づいて政策判断をしているという「嘘」に基づいて報道し、分析しているから、メディアの報道するニュースは意味不明のものになるのです、ということを若い記者相手に長々と説教してきました。

 


<感想>
内田さんの指摘を信じたくはないが、納得できる部分もある。
何事も自分自身で考える力を高めておく必要がありそうだ。

 

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