元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、ゴーン・ショックによる業界再編?

 

【 ゴーン・ショック:鉄鋼業界再編 】

 


 2024/4/14、日経新聞の三村明夫(日本製鉄名誉会長)の私の履歴書に、「ゴーン・ショック シェア倍増 決意の受諾 鉄鋼業界に衝撃、血みどろに」が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79977510S4A410C2BC8000/

 

 以下は、一部抜粋。

 


ゴーン改革が始動した直後の1999年秋、日産自動車の銀座本社に出向くと、先方の小枝至副社長が「鋼板サプライヤーを集約したい。ついては、御社のシェアを倍増させるので、鋼板価格を引き下げてほしい」と単刀直入に切り出した。私は「弊社をメインサプライヤーとして選択頂き感謝申し上げる。ただし、極めて重大なご提案であり、社内でよく議論してからお返事したい」とだけ答え、面談を終了した。

 

当時、日産には高炉メーカー5社が鋼板を納入していた。当社の納入シェアは約3割、他社は1~3割でほぼ横並びだったと思われる。当社のシェアが倍増するということは、他の高炉メーカーのうち、1社か2社が購買先から外される、もしくは大幅にシェアダウンさせられることにほかならない。削減の対象のメーカーにとっては極めて衝撃的で影響甚大、まさにゴーン・ショックそのものであった。

 


その後、予想されたように競争が激化したが、何より大きな影響はこのシェアの変動がJFEホールディングスの誕生と、新日本製鉄住友金属工業の統合という鉄鋼業界の再編集約を促す強力な一撃になったことだ。ゴーン・ショックは鉄の歴史に深く刻まれる大きな事件だった。

 


ご参考)1990年~ 鉄の新しい時代へ
https://manabow.com/pioneer/nsc/4.html

 

釜石の火が消え、90年代に入ると、半導体を中心とするIT(情報技術)関連分野が産業の花形となっていった。そんななか、鉄鋼業界を激震が走った。

 

1999年、日産自動車カルロス・ゴーン社長が鋼材調達先を入札制に切り替えたのだ。いわゆるゴーン・ショックである。鉄鋼各社の激しい価格競争が始まり、鋼材価格は国際価格をはるかに下回る水準となってしまった。この頃世界の鉄鋼業界では、国際競争力を強化するために統合による業界再編が進展しており、その後国内でもゴーン・ショックをきっかけとした過当競争を避けてマーケットの健全化を図ろうと再編の機運が高まっていた。

 

2002年9月、NKKと川崎製鉄経営統合してJFEホールディングスを設立、新日本製鐵は同年11月に住友金属工業神戸製鋼所と包括提携して鉄鋼業界に2大グループが出来上がった。新日本製鐵誕生以来32年ぶりの鉄鋼大再編である。

 

この再編によって、業界の技術的進展はもちろん、資源の共有化により各社設備の効率的活用が期待でき、設備改修の際のロスもカバーし合えるようになる。

 


<感想>
一企業(カルロス・ゴーン率いる日産自動車)の大幅なコスト削減要請発の鉄鋼業界の再編劇。外圧を契機とした方が短期戦には向くと思われる事例

 

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