元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、公的債務急増に臆する必要なし?

【 公的債務急増 】

 


 2020/9/2、日経電子版に「公的債務急増に臆するな」と題するフィナンシャル・タイムズの記事が掲載されていた。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63307950R00C20A9TCR000/?s=4

 

 以下は、一部抜粋。


新型コロナへの対応は待ったなしであり、政府が手をこまぬいていれば大勢の失業者が発生するリスクまで踏まえれば、公的債務への懸念を後回しにするというのは適切な選択だ。

 

公的債務の持続可能性は金利と経済成長率の両方に左右されるため、どの水準なら安全かを割り出すのは実に難しい。例えば金利が2%で経済成長率が3%なら、政府は何もせずに時が過ぎるのをじっと待つだけでいい。借り入れを増やさない限り、債務残高はGDP比で少しずつ減っていく。逆に金利が経済成長率を上回る場合、少額の債務でも手に負えなくなるほど膨らむ可能性はある。

 

つまり、公的債務の上限を見積もるには、先々の金利動向を見極める必要があるが、それは難しい。IMFが2015年に債務上限の推計を試みた際、日本とイタリアには借り入れを増やす余地がないと結論付けた。ところが、両国とも今年に入り公的債務を大幅に積み増している。

 


日本は1990年代から2000年代にかけて歳出削減や増税をたびたび実施した。その結果、需要は弱まったが、すでにゼロ金利の状態にあったため日銀は手の打ちようがなかった。そのため、日本政府は失業を食い止めるべく支出を拡大せざるを得なかったのだ。近年では安倍晋三首相が公的債務のGDP比率を何とか安定させてきたが、その成果も新型コロナ危機への財政対応で吹き飛んだ。

 

別の角度から見れば、日本がインフレにならず、したがって金利も上昇しない状況下では、日銀は保有する国債を売却する必要性に直面することはない。実質的に日本政府がそうした債務を抱えるということだ。そうした停滞はまずいが、公的債務がGDP比100%を超えたかどうかなどは問題ではなくなる。世界的に金利の低下が続けば、他の中央銀行も似た戦略をとる可能性がある。

 


それゆえ、各国政府は景気を十分に立て直して金利がプラス圏に上昇するまで、公的債務の増加を恐れるべきではない。経済が再生してから、返済コストをにらみつつ債務を少しずつ減らす方策を考えればよいのだ。

 


<感想>
 当面金利上昇は見込まれないため、上記にもあるように、公的債務の増加を恐れる議論はしばらく封印する必要があろう。

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