元証券マンが「あれっ」と思ったこと

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あれっ、習近平の鄧小平への復讐の形?

 

習近平:父習仲勲を破滅させた鄧小平への復讐 】

 


先日、「裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐」(遠藤誉著、ビジネス社)を読んだ。
以下は、一部抜粋。

 


第七章 習近平、鄧小平への「復讐の形」


【5】天安門事件後の経済封鎖を解除して共産党政権を維持させた日本

1989年6月4日に起きた天安門事件により、アメリカを中心とした西側諸国は厳しい対中経済封鎖を行おうとした。しかし封鎖を緩いものとさせ、さらにそれさえをも最初に解除したのは日本だった。経済封鎖を受けた中国はただちに日本の政財界に働きかけて日中友好の重要性を説き、微笑みかけてきた。すると、同年(1989年)7月に開催された先進国首脳会議(アルシュ・サミット)で日本の当時の宇野(宗佑)首相は「中国を孤立させるべきではない」と主張し、1991年には海部(俊樹)首相のときに円借款を再開し、西側職から背信行為として非難された。

 

一方、1992年4月、中共中央総書記になっていた江沢民日中国交正常化20周年記念を口実に訪日し、病気療養中だった田中角栄元首相を見舞って、天皇訪中を持ちかけている。このころ江沢民は、「天皇訪中が実現すれば、中国は二度と歴史問題を提起しない」とさえ言っている。実際は天皇訪中を実現させると、すぐさま1994年から愛国主義教育を開始し、激しい反日運動を始めた。

 

中国は「日本を陥落させて天皇訪中さえ実現させれば、他の西側諸国、特にアメリカの対中経済封鎖網は崩壊する」という戦略で動いていた。その戦略は見事に当たり、同年10月に天皇訪中が実現すると、アメリカもただちに対中経済封鎖を解除して、西側諸国はわれ先にと中国への投資を競うようになるのである。

 


【6】現在の日本の選択

現在の自民公明与党は、またもや同じ轍を踏もうとしている。アメリカを凌駕して中国が世界一になりグローバル経済の覇者となるための「一対一路」構想に対して、自民党二階俊博幹事長や前安倍(晋三)内閣の今井高哉内閣総理大臣秘書官などが2017年2月に北京で開催された「一対一路国際協力サミットフォーラム」に参加し、条件付きではあるものの一対一路に積極的に協力していくと表明したのを皮切りに、安倍前首相も「一対一路構想は環太平洋の自由で公正な経済圏に融合していく」として、インド太平洋構想と一対一路構想の連携について積極的姿勢を見せた。2018年10月に中国に国賓として招聘してもらうために、まるで交換条件のように「第三国でのインフラ共同投資のための協力文書」を交わし、習近平を喜ばせている。その見返りに要求されているのが「習近平国賓としての日本訪問」で、それを実現させるために新型コロナ・ウイルスの感染が始まった時期に、早めに中国からの入国禁止を言い出すことができなかった。その罪は重い。

 

万一にも習近平国賓として来日すれば、習近平は必ず江沢民と同じように天皇陛下の訪中を求めるだろう。

 

東京五輪組織委員会森喜朗前会長が女性差別発言によりオリンピック精神にもとるとして全世界の非難を受けて辞任した。その意味からいえば、およそ民主主義国家たるものはすべて、2022北京冬季五輪に対して「ジェノサイド」を理由に参加を拒否するくらいのことをしなければならない。

 

ましてや日本は、ほぼ毎日にように日本の領土の尖閣諸島接続水域や領海に中国公船が侵入しているのだから、それだけでも習近平国賓来日を拒絶すべきだ。それもできずにただ「遺憾の旨を伝えています」と言葉で言うだけで、実際は中国にへつらうことしかしていない。

 

2021年2月1日に中国は海警法を施行し、中国海警局の公船が日本など他国の公船(海上保安庁の船など)を銃撃してもいいことになった。これは国連海洋法条約に違反しているにもかかわらず、中国は「依法治国」方針に従い、国際法に違反する法律を国内で制定して「法に準拠して公船を攻撃できる根拠」を勝手に与えているのである。


これに関して菅総理大臣は「強い懸念を伝えておきたい」と、まるで他人事だ。茂木外相などは「この法律(海警法)が国際法に反する形で適用されることがあってはならない」などと言っているが、海警法自体が国際法違反なのだ。そもそも遺憾の意を表すのなら行動で示すべきだろう。

 


 習仲勲のような人物がトップに立つことはできないのが中国であり、その習仲勲のために「復讐」の思いで国家戦略を進めている習近平は、絶対に譲らない。だからこそ、国家主席の任期制限を撤廃するために憲法を改正することさえしている。

 

 習近平李克強と権力争いをしているなどという「甘い幻想」は抱かない方がいい。そんなちっぽけなことで習近平は動いていない。彼が睨んでいるのは「世界」だ。「人類運命共同体」という外交スローガンを軽んじない方がいい。100年前のコミンテルンのヤドカリ作戦のように世界各国に潜り込んで成長し、やがては中国共産党が支配する世界を創ろうとしているのだ。

 

 習近平はウィズ・コロナの世界で、社会主義体制の優位性まで強調して人類の上に立とうとしている。私たちは言論弾圧をする世界の中に組み込まれていっていいのか?一党支配体制の維持を国家の最優先目標に置き、そのために情報隠蔽をする中国により、いま世界は未曽有のコロナ禍に苦しんでいる。犠牲者の数は世界大戦以上だ。

 

 人類は何のために生きているのか?

 日本の覚悟をといたい。

 


<感想>
 中国共産党建党から100年の共産党内の裏切りと陰謀。
 習近平の父を破滅させた鄧小平への復讐。
 著者の中国での体験。読み応えのある1冊だった。

 

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