元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、相変わらずを確認できたあの瞬間?

 

【 流浪の月 】

 


 先日、2020年本屋大賞を受賞した「流浪の月」(凪良ゆう著、東京創元社)を初めて読んだ。

 以下は、一部抜粋。

 


 納得するわたしを、文はなんともいえない顔で見た。

 

「更紗は相変わらずだな」

 

 文が小さく口の端を持ち上げる。ああ、そうだ。文はこういう笑い方をする人だった。懐かしさにむせそうになりながら、わたしは唐突に気づいた。今、文は、更紗と呼んだ?

 

「忘れたふり、しないの」

 

 問うと、文はなにもない中視線を移動させた。

 

「俺には関わらないほうがいいと思ってた。なのに、すごい有様でやってくるから」

 

(略)

「文、わたしを恨んでるでしょう?」

(略)

 

「わたしが言ったことのせいで、ううん、言わなかったせいで、文の立場は多分すごく悪くなった。どうしても、わたし、孝弘にされたことを言葉にできなかった。そのせいで文の罪は余計に重くなったと思う」

 

「それはしかたない。そんなこと簡単に口にできない」

 


<感想>
再会後、更紗が初めて文が自分のことに気づいていたことを知るシーン。お互いが15年経っても相変わらずなことを確認できたこの場面が一番好きだ。

 

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