元証券マンが「あれっ」と思ったこと

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あれっ、株主総会で社長兼CEOに復帰?


LIXIL:瀬戸社長の社長兼CEOに復帰 】

 


 先日、『決戦!株主総会 ドキュメントLIXIL死闘の8カ月』(秋場 大輔著、文藝春秋)を読んだ。

 以下は、日経ビジネス電子版の「LIXILお家騒動の教訓 ガバナンスを軸に社長を鍛える仕組みを」からの一部抜粋。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00528/011200006/

 


 2018年10月、瀬戸欣哉社長兼CEO(最高経営責任者)の退任が突如発表され、創業家出身の潮田洋一郎取締役(当時)との「お家騒動」に発展したLIXILグループ(現LIXIL)。瀬戸氏は8カ月後の株主総会で潮田氏側に勝利。社長兼CEOに復帰した。だが、騒動によって同社はガバナンスの不備が問題視されることになった。企業イメージが低下したのは否定できない。


 瀬戸氏が復帰した19年6月、同社のガバナンス面の仕組みづくりを託されて、社外取締役と指名委員会委員長に就任したのが、外資コンサルティング会社などで経営経験が豊富な西浦裕二氏だった。

 西浦氏は、まず「権力者のお手盛りではないか」との批判が出た指名委員会の見直しに着手した。執行役人事について、取締役会は指名委員会に「原則として付議」としか記載していなかった規定を「(必ず)指名委員会へ諮問」と改めた。

 


曖昧な表現の規定はすべて見直し

「執行役・CEOの解任・解職時は(必ず)指名委員会による面談を行う」とも規定に明記した。


 西浦氏らはまた、「CEO後継者計画」の策定にも取り組んだ。まず、戦略の構想力やコミュニケーション力、価値観や人柄、倫理観など10項目からなる「あるべきCEO像」を明確化。その上で、CEO後継者は原則として「社内の後継候補者リスト」から選定すると定め、経営幹部全体の育成にもひも付けた。「CEOにとどまらず、経営陣全体の質を高める仕組みをつくることが何よりも重要だ」と西浦氏は力を込める。

 生まれ持って万能な経営者はいない。予測困難なVUCA(ブーカ=変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代。コーポレートガバナンス企業統治)を軸に、多種多様な力を持ち寄るなどして社長を鍛える仕組みを整えることが重要だ。多様な考えに接することが社長の視野を広げ、“器”を大きくするからだ。

 


1)『決戦!株主総会 ドキュメントLIXIL死闘の8カ月』
https://bunshun.jp/articles/-/54681?page=1

「瀬戸さん、急な話だけれど指名委員会の総意で、あなたには辞めてもらうことになりました。交代の発表は4日後の10月31日です。後は私と(社外取締役の)山梨(広一)さんがやりますから」

〈辞めろ? 指名委員会の総意? 交代発表は4日後? どういうことだ?〉

「本当に指名委員会の総意なんですか」

 潮田は何度も「指名委員会で機関決定したのだから仕方がないでしょう」としか言わず、電話を切った。


瀬戸が潮田からの突然の電話で辞任を迫られた2018年10月時点の取締役の構成をみると分かりやすい。総勢12人のうちトステム出身者は潮田を含めて4人、対するINAX出身者は創業家出身の伊奈啓一郎と、INAX最後の社長だった川本隆一の2人しかいない。

 残る6人のうち1人は瀬戸。あとの5人はコンサルタント会社マッキンゼー・アンドカンパニー出身の山梨広一、元警察庁長官の吉村博人、作家の幸田真音、英国経営者協会元会長のバーバラ・ジャッジ、公認会計士の川口勉。いずれも潮田の要請を受けて社外取締役に就いた人たちだ。


2)現在の取締役・執行役
https://www.lixil.com/jp/about/board/

 


<感想>
 コーポレートガバナンス的に問題のあったLIXILの瀬戸CEOの解任に対して、会社側に戦いを挑んだ瀬戸氏が株主総会で勝利し、社長兼CEOに復活した背景にあったのは、瀬戸氏の行動規範の拠りどころの『Do The Right Thing』であったに違いない。

 

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