元証券マンが「あれっ」と思ったこと

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あれっ、ベトナムの民族解放と社会主義の結合?

 

ハノイベトナム共産党の正当性 】

 


 先週、ハノイに行ってきた。


 以下は、「現代ベトナムを知るための63章」(岩井美佐紀編著、明石書店)からの一部抜粋。

 


 第46章 ドイモイ憲法ベトナム共産党

 

 1986年にドイモイを提唱したベトナムは、国際政治からの衝撃に巻き込まれた。1989年の冷戦終結と1991年のソ連解体である。ベトナムは、なぜこれからも社会主義体制を堅持していくのかという「説明」を迫られた。共産党は、1991年、「ホーチミン思想」を登場させ、1992年憲法および2013年憲法にも、ホーチミン思想が盛り込まれ、現在では、学校の教科として定着させている。それでは、ホーチミン思想とは何であろう。

 

 簡略すれば、マルクス・レーニン主義の普遍性を説きつつ、ベトナムの特殊性として、共産党創始者であるホー・チ・ミンの民主主義的な姿勢、ベトナムの伝統や道徳を強調したものである。すなわち、民族解放と社会主義との結合を説くものであった。なお、「ホーおじさん」とも称されるホー・チ・ミンの遺体が安置されているホーチミン廟は、ホー・チ・ミンの表象としての役割を果たしている。

 

 それでは、今後、ベトナムにおいて共産党の一党支配の行方はどうなるのであろうか。今日における共産党支配は、歴史的な貢献を基礎としている。すなわち、1930年の結党(党名は、ベトナム共産党インドシナ共産党ベトナム労働党ベトナム共産党へと改称されている)以来、フランス植民地・日本軍支配から脱却し、抗仏戦争(第一次インドシナ戦争)、抗米救国戦争(ベトナム戦争)に勝利し、民族の解放と独立、さらには統一を勝ち取った「正しい指導性」が強調されてきた。

 

 またドイモイ以降、市場経済化が促進されるなか、共産党は、発展途上国の開発体制(開発独裁)としての存在理由をもっているようにみえる。これは、権威主義的政権による「政治的安定」の下で、外資導入による経済成長を目標とするという意味である。したがって、今日の「戦争を知らない世代」の時代において、そして将来的には「国家による開発」以降の時代において、ベトナム共産党は、その支配の正当性や民主化という試練に立ち向かい続けなければならないであろう。

 


<感想>
 ホーチミン廟、ホアロー収容所、ベトナム軍地歴史博物館を観てきたが、上記にある通り、いずれも民族解放(抗仏・抗米)と社会主義ホーチミン思想)の結合を説いていたように感じられた。

 

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