元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、脱成長コミュニズムで地球を救う?

 

【 人新世の「資本論」 】

 


 先日、『人新世の「資本論」』(斎藤幸平著、集英社新書)を読んだ。以下は一部抜粋。

 


 人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮な状態に陥るだろう。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが資本主義の際限なき利潤追及を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。

 

 いや、危機の解決策ある。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。世界的に注目浴びる俊英が、豊かな未来社会への血筋を劇的に描き出す。

 


< マルクスが目指していたもの >      
       経済成長 持続可能性

1840年~50年代 
生産力至上主義  〇    ×
共産党宣言」「インド評論」

 

1860年代     
エコ社会主義   〇    〇
資本論」第一巻

 

1870年~80年代 
脱成長コミュニズム ×    〇
「ゴータ綱領批判」「ザスーリチ宛の手紙」

 


< 4つの未来の選択肢 >
           権力 平等・不平等
1.気候ファシズム  強い 不平等
2.野蛮状態     弱い 不平等
3.気候毛沢東主義  強い 平等
4.脱成長コミュニズム 弱い 平等

 


脱成長コミュニズムの柱(1):使用価値経済への転換
「使用価値」に重きを置いた経済転換して、大量生産・大量消費から脱却する

 

脱成長コミュニズムの柱(2):労働時間の短縮
労働時間を削減して、生活の質を向上させる

 

脱成長コミュニズムの柱(3):画一的な労働の廃止
画一的な労働をたらす分業を廃止して、労働の創造性を回復させる

 

脱成長コミュニズムの柱(4):生産過程の民主化
生産のプロセスの民主化を進めて、経済を減速させる

 

脱成長コミュニズムの柱(5):エッセンシャル・ワークの重視
使用価値経済に転換し、労働集約型のエッセンシャル・ワークの重視を

 


晩年のマルクスの脱到達点が脱成長コミュニズムであり、それこそが「人新世」の危機を乗り越える ための最善の道だと確信した

 


<感想>
人間の経済活動による地球破壊を防ぐには、晩年のマルクスが目指した「脱成長コミュニズム」しかないとする著者の考えが正しいような気がしてきた。

 

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