元証券マンが「あれっ」と思ったこと

元証券マンが「あれっ」と思ったことをたまに書きます。

あれっ、政策保有株売却の加速を金融庁が指示?

 

【 政策保有株売却の加速 】

 


 2024/2/13の「鈴木財務大臣内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要」が掲載されていた。
https://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2024a/20240213-1.html

 

 以下は、一部抜粋。

 


問)
金融庁が損保大手4社に対しまして、政策保有株の売却を加速させるよう求めたとの報道がありました。本件に関する事実確認と大臣の損害保険会社の政策保有に関するご所見をお聞かせください。

 


答)
そのような報道があったことは承知しています。

企業保険における保険料の調整事案に関しまして、金融庁が昨年末に大手損保4社に対して発出した業務改善命令の中では、保険料の調整行為が行われた真因の1つとして、政策株式保有割合など、保険契約の条件以外の要素が入札結果等に少なからず影響する場合があったということを指摘するとともに、改善対応の1つとして、企業保険分野における適正な競争実施のための環境整備に向けた方策の検討、実施を求めました。

 

金融庁としては、こうした観点から、政策保有株式の売却の加速は重要であると考えておりまして、現在、大手損保4社に対して、今月末までに提出を求めている業務改善計画が、そのような観点も含めたものとなるよう、各社との対話を進めているところです。

 

金融庁としては、政策保有株式の売却も含め、各社から提出を受ける業務改善計画やその後の進捗等について、今般のような事案を二度と起こさないようにするとの観点からしっかりと確認をしていきたいと、このように思っています。

 


ご参考1)2023/12/26「金融庁 大手損害保険会社に対する行政処分について」
https://www.fsa.go.jp/news/r5/hoken/20231226/20231226.html

 

(4)当庁が考える真因及び今後の対応の必要性

当庁としては、これらの問題の真因は、以下のとおりであると考えている。

1)企業保険分野においては、次の要因があり、独占禁止法等抵触等リスクが発現しやすい環境であったことに加え、こうした環境を踏まえた対応を経営陣が十分に検討しなかったこと

・損害保険会社の数が限られているため、他の損害保険会社との接触機会が多く、連絡を取るのが容易

政策株式保有割合や本業への支援など、保険契約の条件以外の要素が少なからず影響する顧客企業との関係
(以下略)

 


ご参考2)2021/6/11 東証コーポレートガバナンス・コード」
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jdy-att/nlsgeu000005lnul.pdf

【原則1-4.政策保有株式】
補充原則
1-4 (2) 上場会社は、政策保有株主との間で、取引の経済合理性を十分に検証しないまま取引を継続するなど、会社や株主共同の利益を害するような取引を行うべ きではない。

 


<感想>
金融庁が「政策保有株式の売却の加速は重要である」との発言に違和感を感じた。本来、株主からの付託を受けた取締役が、会社の持続的成長と中長期的企業価値向上の観点から「政策保有株式の売却」方針を決めるべきで、金融庁が口を挟む内容ではないと思われる。

 

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